むち打ちについて
自動車の追突事故などの衝撃によって、首の骨である頚椎が無理に曲げられた後、次は伸ばされてしまい「むち」のような動きを強制されて起こるけがの総称です。
「頚椎捻挫」や「外傷性頚部症候群」と診断されることがよくあります。
むち打ち症は、交通事故での外傷で一番多くみられ、事故直後は症状がないが、数日後に症状が現れることもよくあります。
むち打ち症はレントゲン写真やMRIなど画像診断では異常所見がみられないが、頚部の痛みだけでなく腕のしびれやだるさ、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気など自律神経系の症状を慢性的に訴えることもしばしばみられます。
むち打ち症の分類と症状
頚椎捻挫型
頚椎の周りの筋肉などの軟部組織の損傷で、むち打ち症の中で最も多くみられます。
主な症状は、首や肩の痛み、関節の運動可動域の制限がみられます。
神経根型
頚椎のまわりの神経が圧迫された状態で、頚椎ヘルニアに似た症状を起こし、首の痛みのほか、腕の痛みやしびれ、だるさ、後頭部の痛み、顔面痛などが現ることがあります。
まれに咳やくしゃみをしたり、首を動かした際に症状が強まることがあります。
バレー・リュー症状型
頚部にある交感神経を刺激されおこる症状で、めまいや吐き気、頭痛、耳鳴りなどの自律神経症状を呈します。
脊髄症状型
頚椎の中を通る脊髄が傷ついたり、下半身に伸びる神経が圧迫されて、下半身のしびれなどの感覚異常、運動神経が侵されると歩行障害が現れることもあります。
また、まれに膀胱直腸障害といい、尿や便が出にくくなることもあります。
脳脊髄液減少症
髄液圧低下症とも言われ、頭痛が主な症状で、立っている姿勢や座った姿勢で症状が悪化し、寝ると改善されることが特徴です。
頭痛以外にも悪心、嘔吐を起こすことがあります。
むち打ち症と一言で言っても、さまざまな症状をおこし、最悪な場合、後遺症を残すこともあるので、事故後気になる症状があれば我慢をせず早期に治療を行いましょう。